眉間にしわをよせたまま、家の奥へと入っていく。



「あ、央!お前、でかくなったなあ!」


リビングのソファに堂々と座る男性が、あたしを見ては立ち上がり、そう言った。


あたしは、小さい脳で記憶を辿っていった。


……あぁ!



「お兄ちゃん!」



実はあたしの兄弟は蓮兄のほかに、雄輔という20歳くらい上の兄がいるのだ。



懐かしい。


あたしが小学校上がる前に、結婚し、お嫁さんの実家があるニューヨークに旅立ったのだ。


あれから会ってないから、もう10年ぶりくらいだ。


あたしは、お兄ちゃんの隣にいる女性に目をやる。



すっげー、美人……。


栗色の髪色が、オレンジ色の光に照らされ、すごく綺麗だ。



座っただけでもわかる。

日本人離れしたスタイル……。


その美しさには、女のあたしでさえ、胸が高鳴る。


そして、見覚えがある。


……お兄ちゃんの奥さんだ。



「お前、その制服は東高校なんだなぁ。」


「頭、いいのね」


2人の言葉にあたしは、ただ照れるだけだった。


いやぁー。

東高校の生徒ってだけで、こんな優越感得られちゃうんだね!