"ガキみたいな遊び"といわれた酒巻は、拳をつくりあげた。


…だめだ。


あたしのせいで、2人の関係までも崩れ落ちてしまいそうだ。



「俺、野球やめないよ?…それにさぁ、俺等2人の問題じゃんか。しかも解決したことを、今も引っ張るなんてよそうぜ?」



「陸…。」


酒巻は、何も言い返すことなく、自分の机に戻る。


「央は悪くないよ…。悪いのは…俺なんだよ」


「ううん!ムキになったあたしも悪いんだって!」



陸は、ハハッと笑ってあたしの前の席の椅子に座る。


「あ、そうだ。お前、予選来ないか?」


「予選?」

あたしは首を傾げた。


…あぁ。

なるほど。


甲子園予選のことね。


「え、でも東高校が優勝するのは目に見えてんじゃん」


「いや…。そんなのわかんないって。」


「えーわかってるよ。だって東って野球の強い人間が全国からきてんだもの」


「…いや。そういうわけじゃないだろ…」



陸が頭を激しくかいた。


「来いよ」


陸の低い声が、あたしの胸を締め付ける。


だけど、陸はハッと顔を上げ、あたしを見ては焦る。


……?