「…お前、アホやなぁ」


捺来の口からは、ため息にもならない声が漏れる。



「恋なんて、いつでもできんだろ。…高校終わってからでもよ」


「…でも!」


陸は、躊躇った。



「…央に酷い事言ったんです。俺…」


「酷い事?」


捺来は陸の言葉に首を傾げた。


これは弥生さんに言っていいのだろうか…。


俺は、央に弥生さんの愚痴を吐いたんだ…。



捺来は陸の行動を素早く察知したようで、陸の顔を見る。


「まぁ、嫌なら言わなくていいけどさ。央が全てじゃねぇだろ?」


陸は捺来の言葉に顔をバッとあげる。



「でも、もう野球をやめない限り話かけんなって言われたんですよ!?」


捺来は目を大きく見開いた。


野球をやめるという意志は、自らの意志じゃないのか?


央に……。


捺来は拳をつくりあげる。


アイツのやってることは、俺を落とした奴等と同じようなもんじゃないのか?


「野球はやめんな、絶対やめんな!」


「どうしてですか!?弥生さんだってやめたくせに!」


「お前はみんなから期待されてんだよ、いいな!?やめたら許さん!」


「でも、央に…」