* *


「……ッハァ…」


放課後の帰り道、陸は壁にもたれ、息を整える。



初めて…。


部活をサボッてしまった。


しかも、甲子園予選中のこの大事な時期に…。



でも、今日から俺とは無関係になるのだ…。



「あーくそ…ッ」


自分の目的がわからない。


同情がほしいのか?

何に期待をしているのだ?


もう、自分の意志すらわからない。



「あれ……、お前」



ふいに、言葉が落ちてきた。


顔を上げると、一番会いたくない顔があった。



「……弥生、さん」



「……邪魔なんだけど」


陸は捺来の言葉でハッとする。


ここ、歩道橋の前じゃん。


俺が立っているせいで、弥生さんが通れない…。


ということか。


「すいません…」


陸は慌てて、歩道橋から降り、家へと帰ろうとした。