「今日、桜庭海斗が生放送に出演だよー!」


「もー、うるさい黙って」


同じ桜庭海斗ファンの純の声も無視してあたしは、何年か前の関西の新聞を読んでいた。



なっちゃんの正体を突き止める、何か手がかりがあるかもしれないから…。



新聞は、本物の新聞じゃない。


中学生、高校生の記事が載った関西地方の新聞をインターネットからピックアップして、コピーしたものだ。



「ていうか、これいつの時代の新聞?うけるんですけど」


「あー!もう黙れ、はげっ!」


純をキッと睨み、作業にふたたび取り組んだ。


あたしの睨み方に、純は硬直状態。



「ちょ、やめてよ…。ただでさえ、あんたツリ目なのに…。」



あたしは、小さな文字を一字一字見逃さず、丁寧に見るが、一向に出てこない。



そんな中、やっと中学野球らしき記事がでてきた。



【尚院中学校 野球部 期待の星】



「しょういんちゅうがく…」



一体、その中学になっちゃんは在籍していたのだろうか…。



【尚院中学 在校生 青沢健介(14)

彼の投げる球は、プロ並みの速さ……

………

数々の高校が、彼をスカウトしていることで有名。


そんな彼には、よきライバルが存在する……】