「だから、ホストであなたを雇いたいんです!」


「嫌や!」


「もちろん、タダってことはありませんよ!」


その瞬間、なっちゃんの瞳が変わったような気がした。


…気のせいだろうか。


あたしは陸とともに、首を傾げる。


……健がいない。

あたしはキョロキョロ辺りをみまわすが、いない。


…どこにいったんだろう…?


「ホストしてくれたら、煙草をさしあげます!」


明菜はそういうと、ポケットから煙草の箱をとりだし、ニコッと白い歯をみせた。


こんな、堂々と煙草をだして…!


しかも、なんでそんなもんもってんのよ!!


なっちゃんは、意味ありげの笑みを浮かべ、そして一言…。


「やったるわ」


「ちょちょちょちょ!」


あたしと陸が慌てて止めにはいる。


「弥生さん、単純すぎますよ!」

「そうだよ!なっちゃん、煙草だよ!?犯罪…!」


「だって、今、制度が厳しくてなかなか手に入らないんだぜ?」


…なにそれ。

あたしはなっちゃんの言葉に口をポカンとあけた。



「…よしきた!行こう、イケメンさん!」


…なっちゃんって。

単純なのね。


でも、あたしはそんな彼に恋をしている。