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「ウーロンハイに、カルピスハイも飲んで酔っ払いやがって、このバカ…ッ!」


生放送の歌番組もあっというまに終わり、弥生捺来と工藤央は帰り道を歩んでいた。



途中でお腹空いたという央の意見で、なぜか近くのカラオケに入り、空腹を満たしていたが、央が酒を飲んでしまったのだ。



おかげさまで、今の央はベッロベロ。


捺来は、真っ赤になった央を必死でおぶっていた。



「もー…。これ絶対、コイツの親に怒鳴られる」



顔も名前も知らない央の両親に怒鳴られるのを想像した捺来は、その想像を振り払った。



「なーつきくーん♪」


語尾にハートが軽く5つ位つきそうな甘ったるい声で、捺来の名を央は口にする。


捺来は、顔をゆがめた。


「キミのお兄ちゃんはやっぱ格好良いよぉ!あたしを紹介してぇ?」



お酒の力を利用した央に、捺来は呆れを見せた。



「おい、央!高校の駅前ついたぞ!こっから家先教えろ!」



「はぁ!?何それ、ストーカーするつもりぃ!?」



捺来の眉間にシワが寄る。


「チッ。何でそうなるねん…。おい、携帯貸せや!如月さんに連絡とる」



「今ねぇ、充電切れぇ」


キャハハと笑う央に、苛立ちのピークはもう既に迫っていた。



「お前!いい加減にせんと、ここでしばくぞ!」