「大体な、一緒に住んでる奴に会う為の金払いたくないんスけど」


「…もう、あたしが奢るって言ってるじゃないか」



外に出ると、蒸し暑い風が肌に直に当たってくる。


梅雨独特の湿気。


「じゃあさ、何でなっちゃんは西高なんて通ってるの?」


「は?」


なっちゃんが首を傾げる。


「だってさ、これから行くホテル付近に家があるってことは、西高は片道2時間はかかるでしょ?西高はそこまでして、行くような高校じゃないでしょ?」


あたしの言葉になっちゃんが唇を強く噛んだ。


「……俺は」


なっちゃんはそこまで言うと動く口を止めた。



そして、再び重い口を開く…。


「何で俺はこうなったんだろうね」



「えっ?」


何か、話がずれているような気がする。


でも、【やだあ☆なっちゃん、そんな重い顔しないでえ☆】みたいなノリで返すことはできない。



「あ…いや」


なっちゃんがハッとした顔になり、慌てて口を動かす。


「大体、俺みたいな成績でも受け入れる高校は西高しかないからだ」

……ほお。



妙に納得がいく。


あたしは空を見上げた。