かえりみち

何度も言うように

「はじまり」は明確で

唐突だった。


「空白の2ヶ月」から
10日の時間が経っていた。

その日も

俺は都心方向とは間逆の
下りの電車に揺られながら、

移り行く景色を、

徐々に「空色」が増えていく
そんないつも通りの景色を、

時折すれ違う
人に溢れた向かいの電車を
眺めながら、

そんな「通学」を楽しんでいた。


学校に着いてからも
一日の講義なんて耳に入ってこない、

それも「いつも通り」であった。


細くて

短い、

当たり前の俺の一日も

残すところアルバイトのみとなった。


17時からのシフトに間に合うように
乗った帰りの電車、

もはや日が傾き出していた。