「音色、音色っ!!」

……っ。
ん…?ここは…。

けたたましい声に起こされ、私はゆっくり視界を広げた。

何か固いものに顔を預けていたので、首も顔も痛くてたまらない。

けたたましい声は未だに私の名を読んでいる。

うるさいっつの…。

心の中で呟いて、しぶしぶ顔をあげた。

「…うるさいってばぁ…。何??」

つまらない用件で私の眠りを妨げたんなら、ぶっ飛ばす。

そんな視線で、生徒会書記、神矢亮也を睨む。

寝起きなので、私の機嫌はピークを達している。

イライラする。

そんな私を彼は気付いているのだろう。

控えめな口調に切り替わった。

「さっき転校生の連れの、中野…なんだっけ?まぁその人が到着したらしいぞ。」
私は長い髪を後ろに寄せて面倒くさそうにほうづえをついた。

「…だから?」

そのトゲトゲしい口調に亮也もやれやれといった感じだ。

「お前この前まで気にしてたじゃん。転校生。」

「…そうだっけ。憶えてない。てかうるさい。どっか行って。」

しっしっと手を振る。

普通の人なら、ムッとするだろうが、生徒会役員はなんて事ない。
普通の事なのだ。

生徒会長、水代音色の機嫌が悪いのは。