あの日の夕日が優しかったので






それじゃあ今度こそ、と。



春はしょうさんと帰り道が同じ
なのだろう。
2人とも同じ方向へ足を踏み出した。





「また明日学校でー。


 じゃあなー。」



「ばいばーい。」






春としょうさんが振り返りながら
手を振る。









手を振る








僕も手を振り返す










         また明日














楽しそうな笑い声が空に弾けた





夜の風が僕を一瞬遠くへ浚う







とてもとても懐かしい記憶











あの頃に戻ったような



泣いてしまいそうで



温かい



微かに残る感覚と



空白の今



これ以上手放さないように



ゆっくりとさげた掌を




ぎゅっと握り

















2人の後姿をいつまでも
眺めていた。