あの日の夕日が優しかったので






(ああ、抱きしめられてるんだ。)








はっきりとしない意識の中

感覚だけが妙にフワフワと




(なにこれおかしい)

(おかしいだろ)











すぐ隣には、柔らかい栗色の毛

その手は僕の背中を優しく撫でる

ポンポンポンポン


心地よいリズムを刻む








(おかしいよ)




おかしい。









あぁ、それなのに







     







         なんて温かいのだろう
















これが、温もりってやつか。



人ってこんなに、あったかいのか。












( くそぅ )




揺らめく思考に体がおいつく


一度とまったはずの涙が眼尻を伝い
頬を濡らす



抑えきれない感情は
涙となって零れた