(ああ、抱きしめられてるんだ。) はっきりとしない意識の中 感覚だけが妙にフワフワと (なにこれおかしい) (おかしいだろ) すぐ隣には、柔らかい栗色の毛 その手は僕の背中を優しく撫でる ポンポンポンポン 心地よいリズムを刻む (おかしいよ) おかしい。 あぁ、それなのに なんて温かいのだろう これが、温もりってやつか。 人ってこんなに、あったかいのか。 ( くそぅ ) 揺らめく思考に体がおいつく 一度とまったはずの涙が眼尻を伝い 頬を濡らす 抑えきれない感情は 涙となって零れた