「目覚まし時計?」
「そ。ゆうひは、昔からよく寝るから。
 よく寝て、よく寝坊するから、ぴったりだろ?」

そう言って、宏ちゃんは笑った。そして、

「誕生日おめでと。ゆうひ。」

・・・覚えててくれたんだ。
何でだろ。
お母さんに誕生日忘れられてても、
桃子から言われるよりも、
宏ちゃんからのこの一言が、
今日の嫌なことを全部吹き飛ばした。

「へへっ。ありがと。
 これ、今日から使うね。」

ヤバイ。
どうしよう。
胸からあふれ出すこの気持ちが、
あたしを苦しめる。

伝えたい、好きって。