その瞬間だった。
診察室の扉が開き、現れた看護師に目を疑った。
「工藤さん、工藤さん」
連呼される声にも反応せず、まさかの状況に目を白黒させた。
直樹が驚くのも無理はなかった。
何を隠そう目の前に現れた看護師・安本玲子(24)は数週間前電車の中で出逢い気に止めていた女性だったからだ。
また恥じかしい面しか、見せてなかったせいで緊張度は、一気に頂点に達してしまった。
「神様、どうか覚えていませんように」
祈りは届いたのか?
平然とした態度で処方箋の説明をする玲子。
それに対し直樹は緊張から中々抜け出せなかった
