その夜


恵子の通夜は実家でしめやかに行われた。


そこにはやはり直樹の姿はなかった。


そして次の日の告別式にも姿すら見せなかった。


式場では涙に暮れる中、恵子に最後の別れが告げられていた。


そして、棺は霊柩車へと運ばれ、永遠の別れと共にクラクションが大きく鳴り響いた。



(パァーーーン)



その時、直樹は黒い服に身をまとい恵子との思い出の場所、出発の地にいた。



12時丁度、胸に手をあて恵子へ最後の別れを告げた。