5年先のラブストーリー-この世のしるし-



乗っている電車は、特急で次の駅まで30分はかかる。

しかも本日は
取引先との大事な商談があり、遅れる訳にはいかなかった。


気だけが焦る一方で

周囲の冷たい視線に

上着で顔を隠そうとした


が・・・


今度はその上着の裾が

扉に挟まれているではないか・・・


その時だった!


次から次へと慌てる姿に


近くにいた一人の女性が


思わず、「クスッ」っと


吹き出してしまった。



あまりの恥かしさに

赤面していると

その女性は何も言わず

上着を引っ張り出した。

直樹は、一言礼を言おうとした。が、


女性は、何事もなかったかのようにその場から離れた。