直樹はこのような事を意図的に考えて行なっていた訳ではなかった。


自分の気持ちを抑えようとする反面


(そう、そこには間違いなく妻の存在があった)



浮気?



次々と相談を受ける度、ただ前向きにさせようと自分の気持ちを振り切ってまで、「励ます」それ一心に必死だった。


この時の玲子は確かに前向きになっていたに違いない!

ずっとそばにいて甘やかす!?


直樹が玲子のそばに、ずっといるなんてありえない!



「ありえない」



この言葉だけがやけに響いた。



「ありえない」理由



決定的な理由があった。



ただ、この時の直樹では玲子をとんでもない方向へと導いているとは到底知る由もなかった。


ただ、この日の直樹はあまりにも絶好調過ぎた。