「自分一人で悩みを解決しようとしても、結局出口のないトンネルでもがくだけ、分かっていてもそこから脱け出すなんてそう容易くない。そこで思いきって殻を破る勇気をどう見つけるかなんだするとそこには必ず原点がある。原点に戻るってそれがどこか探す事でも見つける事でもないんだ原点は振り出しじゃない俺達は進んでいる。そして生きているんだ。後戻りする必要なんてない」
長々と語った直樹は自分自身の戒めとして訴えかけているかのようだった
また玲子にとっても一つ一つが新鮮で素直に聞き入っていた。
「一から見つめ直そうとしても、状況も違えば考え方も成長と共に変わっている。同じ気持ちになろうとする方が自分を苦しめてしまうだけだよ」
「うん」
「原点は新たな自分を成長させる出発点なんだ」
「うん」
玲子は今まで以上に大きく頷いた。
