直樹は玲子が泣きやむまで、ずっと黙って見守っていた。
「フン、フン、私、どうしたんだろう」
ようやく笑顔が戻った瞬間だった。
「どうだ」直樹はその言葉をいきなり発した。
「うん、すっきりした」
玲子はまた新たな感動を覚えた。
『直君がこうして、ずっと私を・・・・・?』
「直君?」
玲子の意味深な言葉より名前の呼び方に戸惑いを見せた。
「直君も安本さんはやめてください」
直樹は戸惑いながら
「なんて呼べばいい?」
「直君が決めてほしい!」
「うぅ~れぃ・・・」
「れい―?」
疑問符で聞いた玲子だったが直樹は思わず頷いた
また玲子は直樹に何を求めたのだろうか?
未来なんて誰にも分かるはずがない!
ただ、今まで味わった事のない世界に足を踏み入れてしまった事だけは間違いなかった。
