‐予感‐
動揺する直樹とは裏腹に玲子は確認したい事が先行していた為、その勢いに任せ淡々と切り出した
「名前は安本玲子と言います」
「あ・・・うん、俺・・工藤、工藤直樹!」
「聞きたい事があるので少し時間を頂けないですか?」
「聞きたい事?」
依然、緊張した面持ちの直樹と、なぜか俯き加減の玲子。
そんな二人は、駅構内の喫茶店に入った。
いきなりの展開に直樹は自分に「落ち着け、落ち着け」と言い聞かせながら、席に座るなり口を開いた。
「それで聞きたい事って?」
「えっ?・・・その前にお体は大丈夫なんですか?」
「あ~うん」
玲子はここでも自分の頭の中の整理で精一杯だった為、直樹のためらいを気には止めなかった。
「さっき病院で工藤さんの後に診察室へ入って行った子供さんの事を覚えていますか」
直樹は首を傾げ「う~む?」と思い出そうとした
