時は遡り一週間前。


玲子は5年の歳月をかけて、ようやく直樹の真実全てを受け止めた。


そして直樹の書いた小説全てを開いた玲子は、5年前直樹と交わした約束を果たす為、二人の思い出の地、高台(出発点)へ向かった。


「直君来たよ」


玲子は携帯を取り出してサイトを開いた。


そしてこの小説のラストを綴る為瞳を閉じた。


「直君全然変わらないね」


(レイもだよ)


「あの日からずっと時は止まっていたのかな」


(ううんずっと進んでいた。だからレイは自分の意志でここに来れたんだ)


「うん、人生は辿るものでも変わるものでもない今日、この日から直君と始まるんだね」



(二人の人生は出逢った時から始まっていたよ)


 そして街の灯は右から左へと駆け抜け、二人を祝福するように彩られていった。


その瞬間、二人の出逢いから今日までの過去が一気に駆け巡った。