「それに私の言う事何でも聞いてくれるんでしょ?」

「……ああ、そういう約束やし」


でもすでに後悔し始めてるけど。
このとんでも女の願いなんてきっととんでもない事に違いない。

勝手に顔がひきつってくる。


「それじゃあ、何にしようかな〜」

「言っとくけど一つだけやからな」

「は?超ケチ。
今軽く10個は願い事浮かんだのに」

「勘弁しろ。
一つや絶対!」

「え〜?」


不満げながらもしぶしぶ納得したようで、必死に頭を捻ってる。

でもこの女。
思考回路が普通の人の斜め45度を進む。
考えてるのは当然――。


「じゃあ今度こそオールヌー……」

「却下」

「胸板舐……」

「絶対嫌や」

「土下座しながら足……」

「オイ!調子のんな、お前。
真面目に考えろ!」


案の定なフザケタ提案にキレ気味で入れた突っ込み。


そんなの絶対あかんて。
もはやそっち系の事、お前とは絶対したないし。

しかもしつこいな、ヌードと舐めるネタ。
全部断固拒否や。


「ちょっと!!こっちは大真面目だけど?
しかも何であんたが偉そうなのよ!!
何でも言う事聞くんでしょ?」

「その願い、一人の女としておかしいやろ。
ほら、他の何か言え。
やないとどんどん出来る事の範囲、狭めたるかんな」

「嘘〜!!
ちょっと待ってよ!!」


――それからほどなくして、えらい気まずそうに、しかも何故かほんのりと頬を赤らめつつ口を開けた変人女、柳田の願いは――

超意外や意外。
まさかのコレ。


「――あのね、私ライブハウスって一回も行った事ないんだ。
だから連れてってよ、ライブハウス」