この気の使わない会話群。
昨日親しくなったばっかりとは思えんし。

リョウとかカズマとかと引き合わせても、確実あいつらも気に入りそうなタイプや。


「なあ、柳田」

「ん〜?」

「今日ってここの美術部員来んの?」

「どうかなぁ。
はっきりはわかんないけど、そのうち来ると思うよ」

「へーぇ」


想像はしてたけど、美術部も軽音部並に活動緩いんやな。

やったらますます好都合やと、側にあった机に肘を乗せて柳田の横顔をジッと見つめた。


「それなら暫くはお前と、此処に二人っきりってことやな」

「え?ああ、うん。
だね」


何を今更って顔で眉を潜める。


あ、コイツ右目の下に泣きボクロ。
こんな図太そうな性格して、意外と泣き虫やったりするんやろか。

とか、心の中で想像して。

それにこれから俺が口にする事に、どんなオモロイ反応が返ってくるのかと期待して平淡な声を出す。

何の感情も込めないように。


「やったらちょうどいいし、昨日のお前のお願いきいたるわ」

「は?お願いって――」

「――だからやってもええで。
天才芸術家の為のヌードモデルってやつ」