「あぁ、それはね、喧嘩してもすぐ仲直りするから」

「は?仲直り?」

「だってしても一晩もたないんだもん。
その場では頭にきて、もう一生許さないって思ってもすぐに冷静になる。
もし今どっちかが死んだら絶対後悔する。
ヤバい、仲直りしなきゃって!
それに一分一秒でも離れてるの、もったいないなって。

リョウもそうだって前に言ってたよ。
だから喧嘩したままその日別れても、夜にはとっちがが電話とか、家直に行ったりとか絶対すぐに仲直りできる。
嘘とかごまかしたりとかもう嫌だし。
後でこうすればよかったって、もう二度と後悔したくない」

「…………」


“死ぬって、大袈裟すぎやろ”
なんて突っ込みは出来ない。

実際過去にそういうことがあって、あんなにも傷ついてきた張本人を前にしたら。


ったくこの不意打ち何やねんな。
結構グサリときたし。

俺の心の訳分からん場所に、痛々しく突き刺さった今の言葉。
まるで俺のこれまでの色々を非難するみたいに。


だけど俺はこんな性格やし
素直にその言葉に賛同するとか出来んくて、呆れ顔で冗談を返す。


「お前とリョウが仲ええのは十分わかったから、くれぐれも場所わきまえてやれや。
色々目撃情報回ってんで」

「な、何それ」

「だから部室、音楽準備室、放課後の教室。
アイツが節操無いのは今更やし、お前がちゃんとあいつコントロールしろや。
そのうちリョウ捕まんで。
女子更衣室になんてつれこんだら」

「し、し、知らないし覚えないし」

「ふーん、ならええけど。
それに首筋のそれ。
今日一日見せびらかしてたみたいやけどもうちょっと自制しろや、周りに変な妄想されたなかったら」

「え!?ヤダ!!
嘘!!!???」


とっさに首を両手でかくして顔を真っ赤にする。
素直過ぎるその反応。

いつもこうならもっと扱いやすいんに。