翌日の昼休み。
向かったのは進学組のカズマのクラス。
理由はもちろん“あの女”のリサーチの為や。


全校の女子生徒のデータ、全てを脳にインプットしてるって事が唯一の自慢のアホ男。

その情熱を全部勉強に注げば、東大どころか軽くハーバード行けるやろ?と突っ込み入れたいくらいの女好き。


そんなカズマがくれた情報は以下の通り。

名前は柳田響(ヒビキ)。
美術部所属。

流石のあいつでもこれぐらいしか知らへん程、めっちゃ影の薄い存在やった“俺の好きな女”。
どこまでも予想通り。


「何でいきなりこんな事?
その女がなんかあんの?」


とニヤケタ顔でしつこく絡んでくるカズマを適当にあしらって、俺は放課後美術室に向かうことを決めた。

俺と何の接点もなさそうな、顔も浮かばない“あの女”を落とすっていう目的の為に。


ぶっちゃけめんどくさいし、惰性以外何ものでもない。

やけど『響(ヒビキ)』とか。
音楽を思わせるその名前だけなら最悪好きになれそうな、そんな予感がした。