視線で殺り合うかのように睨み続ける俺ら。

さっきまで周りを飛んでたちっさい鳥らも、身の危険を感じたのか遠く彼方に飛んでった。


俺の視線に怯まんと、ここまで張り合った奴は男でもそうおらん。
なかなかやるやんこの女。


さっきの俺の下らん宣言を受けて何かジッと考え込むミヤ。

此処まできつい事言ったんや。
今度こそ全部に納得してそのまま引いてくれるやろ。


そう思って怒りのオーラを開放しようとしたら
まさに油断大敵――。
昨日の味方は今日の敵。
(……って何か違うな)


「分かった。
それなら一週間時間あげるよ。
柳田先輩、落とせるもんなら落としてみれば?
でももし出来なかったら私の言う事何でも聞いてよね」

「は?」


なんやそれ。
何でいきなりそんな話になるん?

もちろん俺はすぐさま反論しようと低い声を出しかけると、やっぱり意外に出来る女ミヤ。

しかも俺と付き合った期間は約一年。
俺への傾向と対策は万全とみた。


「――何?ケンゴ先輩。
もしかして自信ないの?」


似合いもしない悪人顔で、しかもフッっとバカにした笑みまで見せて。


このクソ女。
今までどんだけ猫かぶっててん。

正直言うとそんな黒いとこ、実はもっと前に見たかったわ。


この後の俺の返事はもちろん一つ。
これ以外にはありえへん。


「お前誰にもの言ってんねん。
自信なんかあるにきまってるわ」


――こうして決まったミヤとの賭。


誰かマジで俺をぶん殴ってくれ。
リョウでもシンでもカズマでも、百歩譲ってアキでもいいから頼むから。

“お前ええ加減にしろや”と冷静な一突きでもって、誰か俺を止めてくれ――。