流石ボーカリスト。

一気にまくし立て、教室中に響きわたったデカイ愛の告白は、しっかりと目の前の人物に響いたようで。

俺がさっき言った全てを忘れたかのように真っ赤になってうろたえる。


「なっ……タケ!
ちょっとやだ。
いきなり何……待ってよ……」

「いや、待たない。
これ以上一秒たりとも我慢したくない。
お前の事世界で一番理解してるのは俺で、世界で一番好きなのも俺だし。
だからミヤ、俺お前が好きだ。
俺お前の事愛してる!!!」


最後の言葉と共に起き上がった身体。
そのままガバッとミヤを抱き締めて。


ドラマのようなこの光景。

それまで存在を無くしてたクラスの奴らが、我慢できないとばかりに歓声を上げた。


「キャー!!」とか
「おおっ!!」とか
「タケーーー!!」とか。

二年のこのクラス。
当然タケにはホームみたいなもんや。


それにしたって“愛してる”か。
ほんまにかなわんな、コイツには。


一方この場で一番おどろいてるやろうミヤ。

いつの間にか涙も引っ込んで。
腰が抜けたようにへたり込み、タケにしっかりと抱かれたまま。


それを見下ろす俺とタケの肩越しに視線がぶつかった。

まるでいつかの逆になったこの状況――。


戸惑うミヤに微かに笑いを返して、そのまま二人に背中を向けた。

自分の役目は終わったとばかりに。
やたらと痛い拳を固く握り締めながら――。