そもそも女と『ペアリング』する事事態、コイツのイメージからかけ離れてる。

そんな自分を縛り付ける重たいもんの存在、俺だったら絶対耐えられん。

……携帯すらたまにうざいときあるし。


リョウやって昔は俺寄りの人間やった。

女との関係にどこか壁を作って、自分のテリトリーに入れるなんて決してなかったんに。


なのにこんな真逆の人間になったんは、この女――

俺らのバンドのボーカリスト
アキのせいや。


顔もスタイルも声も完璧。
でもどこか脆い“最強女”に溺れて、惚れぬいてるから。


その甘いツラのせいで、今でも密かにモテてるリョウやけど、今のこの姿をみたらどんな女でも戦意喪失やろ。

やってほんまにリョウはアキしか目に入ってへん。

アキを見つめる眼差しには、“好きや”って想いがこぼれ落ちるぐらい出まくってるし、本人隠そうとも思うてへん。


愛情を注ぎまくって
その想いは微塵にも揺らがん。

――恋は盲目とは正にこの事。


一人の男をここまで変えてまうアキは、俺から見てもやっぱり最強やと思うわ。

……まぁこんな気が強い女、俺は絶対好きにはならんけどな。