そんな意味も込めてアキに軽く笑みを見せてスタジオの部屋を出る。

薄汚い通路。
切れかかった蛍光灯の光が、チカチカと点滅を繰り返す。


寝不足のせいだけやない。
どっしりと重たい身体。

たかがあれ位の事で音にまで影響してる自分が、どうしようもなく許せんかった。

これまでリョウやアキに、さんざん呆れてぱっぱかけまくってきた俺やのに。

アホや。
くそや。
最低や。


つかあの女。
何で俺にあんな話なんかすんねん。

いつもごまかして、冗談ばっかりほざいてたんに。
いきなり脆いとこ見せんなや。

あんな風に触れたりとか。
見下ろす視線も何もかも。


ぐちゃぐちゃに
おかしくなる、頭の中。


ミヤの涙と
昨日のアイツと
頭の中にちらついて仕方がない。


――“迷いがある”って。
リョウの奴。

鋭ど過ぎてムカついてくるわ。
……って。

一番ムカついてんのは、こんな風にグラグラしてる自分自身にやけど。