西の狼



「……『呪いの民』、か…因果なものだな……俺もお前も……」



「……ロジャー、帰ろう。戦いはもう終わった。ここにいる必要は無い。」



「あ、分かったッス……」



ロジャーは今度は地面に突き刺さったアザトホースを拾って城に戻った。





仲間の遺体は、他の騎士達が何とかしてくれるだろう。










「………レオンさんの容態はどうッスか?」




「かなり衰弱していますが、命に別状は無さそうです。二、三日も休めば回復されるでしょう。」




ロジャーは医務官の言葉を聞いて胸を撫で下ろした。




ロジャーは医務官にレオンを任せて医務室を立ち去った。


取りあえず、行く当ても無いためロジャーは自室に戻った。




「………じゃあ、アグニさん………」




「……あぁ……まずは俺達のことを話さないとな……」





「呪いの民………ッスか?」



「そうだ…我々は、年を重ねるごとに魔力を倍加させる種族だ。だが、そのままでは自分の魔力に耐え切れずに自滅してしまう。そうなる前に、自分を他のに封印するのだ。」


「封印………」




「そうだ。そしてその時に、本当の名とは別に名を決めることになる。それが封印句だ。封印句を用いて、完全に別の存在として封印されることになる。」



「……それで、アグニさんは封印されて魔剣になったんスね……」


「そうだ。元々の我々はドラゴンと人を足して2で割った様な姿をしている。一人一人が炎や氷を操る力を持ち、力が強い者は完全なドラゴンに変身できる者もいる。そして、一族の長は竜王と称されるのだ。」






「竜王……」





「このアグニは、その竜王の一人だ。」




「え、そうなんスか?」