西の狼



面倒くさそうにアザトホースが呟いた時、レオンが糸の切れた人形の様に倒れた。



「!?おい、レオン!?おい………!?」


アザトホースの呼び声も、今のレオンには届かない様だ。





そこに、ロジャーが小隊を連れてやって来た。



「レオンさん!?」




ロジャーは倒れたレオンを抱えて馬に乗せた。


「お願いします!」




「分かった!行くぞ!」


隊長らしき男がレオンの乗った馬に移って、部活達と共に帰って行った。


残されたロジャーは、地面に落ちていたアザトホースを拾った。




「……これ…レオンさんの魔剣じゃ……」



そこに、ヘイムダールが現われた。

その表情は、何やら険しい表情をしていた。

「ヘイムダール………どうしたんスか?」





「………話を聞く必要がありそうだな…『アグニ』………」




「……アグニって………誰に……」






「………懐かしいな、その名前は………」




「!?」






ロジャーは持っていた魔剣が急に声を発した為に落としてしまった。




ロジャーは地面に突き刺さったアザトホースを抜こうとしたが、そのアザトホースに止められた。





「………『ヘイムダール』か…随分似合わない封印句だな。それに、昔と違ってかなり大人しくなったんじゃないか?」



「……そうだな……仕方ないだろう?俺達は普通の魔族とは違うんだからな。」