西の狼



炎は次第に大火となって天高く燃え上がり、瞬く間に巨大な炎の大剣となった。




「はあぁっ!!」


ダリウスはそれをレオン目掛けて振り降ろした。

炎の刃は、まっすぐレオンに振り降ろされた。





『………無駄だ……』



レオンは目の前に炎の刃が迫っても動かなかった。


次第に、炎の刃が迫って来る。






「……終わりだ……!!」




ダリウスは更に魔力を注いだ。それは、十分に必殺と呼べる一撃だった。

















だが………その一撃がレオンを貫くことは無かった。













「………何……!?」






ダリウスの炎の刃は、レオンに当たる少し手前で、見えない何かに吸収されていた。




それは、まるで空間そのものに割れ目が広がっているかの様な光景だった。


その割れ目にダリウスの炎の刃が丸ごと飲み込まれてしまっているのだ。






『……聖櫃を傷付ける気があるか………ならば、裁きを授けよう………』




レオンは右手を振るった。


すると目の前の空間が弾け、そこに飲み込まれていた炎の刃も消滅した。




「な……ッ!?私の技を吹き飛ばしただと……!?」





その有り得ざる事態にダリウスが驚愕していると、レオンが右手を頭上高くに掲げていた。





「……何を……!?」






『……虚空の彼方へと果てるがいい………』




レオンが小さく呟くと、右手に握ったアザトホースが純白の光に包まれた。






光は次第に収束し、最後には、巨大な光の剣になった。



その巨大さは、ダリウスの炎の大剣などとは比べ物にならない大きさだ。

ダリウスは、その巨大さに言葉を失った。