西の狼

………俺は………








レオンは、暗闇の中で目の前で囁く光に手を伸ばした。


光に手が触れた瞬間

















レオンの体を、白い光が包み込んだ。




















「………あそこは、レオンさんがいる場所じゃあ………!?」




ロジャーは後方の陣にヴォルカスを運び込んだところだった。

そしてさっきまでいたところから、白い光を目にしたのだ。



「………クロガネも消えたみたいだし……レオンさん、大丈夫ッスかねぇ………」



ロジャーはレオンの安否が気になったが、それより負傷兵の救護の手伝いで忙しかった。











「………これは……」




ダリウスは突然の出来事に目を丸くした。




「……確かに致命傷だったはずだが……生きていたのか……?」




ダリウスは再び死霊を呼び出した。

「………行け………」



ダリウスは死霊をレオンに放った。








だが、次の瞬間、信じられない事がおこった。














レオンが放つ白い光に触れた途端に、死霊が跡形も無く消えたのだ。




「!?な………馬鹿な……!?」


ダリウスは死霊を更に放った。


だがそのどれもが白い光に触れた途端に消えてしまった。




「………馬鹿な……まさか、目覚めてしまったのか……!?」




ダリウスは刀を構えた。





倒れていたレオンは、まるで操り人形の様に力無く立ち上がった。

その体からは、濃密な魔力が放出されている。


ダリウスを見つめるレオンの目は、明らかにレオン自身では無かった。


その瞳は、冷たく鋭い眼光をダリウスに向けていた。