西の狼






「………ハァ…………ハァ…………やったか……」



辺り一面は目茶苦茶になっている。ダリウスの姿も無かった。





「………く………逃げた、か……?」




だが、その考えは甘かった。















魔力を限界まで酷使したレオンがよろけた瞬間、目の前にどこからかダリウスが現われた………







「ッ、しまっ……!?」






「……さらばだ……」


















レオンは、ダリウスの刀を避け切れずに斬られてしまった。








レオンは、力無く倒れた。




次第に、意識が遠のいていく………




















…………俺は………死ぬのか………





「………ぉい……ォン!!……レ…ン!!……」





遠くにアザトホースの声が聞こえるが、途切れ途切れで聞き取れない。












アザトホース……………魔剣は、喋らないんじゃ無かったのか………?そんな大声を出したら………皆に………聞こえるぞ………?














「………もはや、意識は無いだろうが……この魔剣は、置いて行こう………共に、冥府に旅立つがいい……」





ダリウスは刀を納めて踵を返した。



そのまま、静かな足取りで立ち去った。







………あぁ………何も聞こえない……このまま………死ぬのか………
















それで良いのか……?









…………俺は………















本当にこのまま、死んで良いのか………?









望むのならば、力をやろう………手にするがいい、我が力を……そして、世界との約束を果たすがいい……