「…ダリウスも、この街の出身でね……」
「!……そうだったのか……」
「ダリウスは、この街でも優秀な剣士だった……」
静かにゆっくりと昔のことを話し出したヴォルカスの横顔は、少し暗い影がかかっていた。
「……ヴォルカスが出て来るとは…魔王の差し金だな……それ程までにレオンを守りたいか……」
ダリウスは一人静かにロイガーの森を歩いていた。
ダリウスは、ある場所へと向かっていた。
「……勝手に戦って、勝手に死なれてはたまらんな……」
ダリウスは思案しながら木々を掻き分けて奥に入って行った。
暫く進むと、木々の中にバレない様にひっそりと、扉の様なものが現われた。
ダリウスは回りの気配を探り、誰も居ないのを確認してから扉を潜った。
中は、洞窟の様になっていた。その壁には灯の灯ったロウソクが備え付けられている。
ダリウスはその通路を進んで行った。
進んだ先にはまた扉があった。
ダリウスはその扉も静かに開いた。
中には、円卓と、それを囲む5人がいた。
5人はダリウスが扉を開いた時に一斉に振り返った様で、扉を開いたダリウスは5人全員と目線が合った。
「……遅かったな、ダリウス…なにがあった?」
扉から一番遠い男が声をかけた。
男は月明りの様に輝く金髪に、燃えたぎる赤い瞳をしている。
「……ここに来る前に、約束の皇子を見て来た。」
「ほぉ……お前の目から見て、その皇子はどうだった?」
「……実力は申し分ない。いずれ確実に我々を超える存在となるだろう。だが、今はまだ修行させて置くのが一番だ。」
「そうか……ではアレは、まだ先になりそうだな……」

