西の狼






「………なんだ…こいつら……」



レオンはゆっくりと立ち上がりながらアザトホースを抜いた。



「盗賊の類か…こんな森の中で待ち伏せとは、余程金が欲しいんだな……」




「やっちまえ!!」




一番前に出ていた男が号令すると、他の男達が一斉にレオンに遅いかかった。




「ちっ……!!」




レオンはアザトホースを左手に持ち替え、空いた右手に魔力を集めた。



「はあぁっ!!」



その魔力を、思いっ切り地面に叩き付けた。
その魔力は風の刃になって、何人かの盗賊を切り裂いた。



「ぐおっ!?」




リーダーらしき男がのけ反ったのを見たレオンは、アザトホースを握り直して、その男に斬りかかった。




「!?」





男は一瞬のことに慌てた。だがもはや防ぐ術は無い。

レオンのアザトホースが容赦無く振り下ろされる。




だが、その刃は届く前に突然割って入った紫色の長髪の男に防がれた。




「……く………っ!?」




レオンは更に力を込めたが、男はまるで引かない。




「せ、センセイ!?」




「………さっさと退け……邪魔だ…」




「あ、あぁ……済まねぇ、センセイ!恩に着るぜ!!」



男はそう言うや否やすぐに逃げ去った。残された男達も傷付いた仲間を抱えて逃げ去った。




「………お前、この世界の者では無いな………?」



「ッ!?」



突然の言葉に動揺したレオンは男に弾き飛ばされた。

レオンは少し離れたところに着地して剣を構えた。




「……尋常ではない魔力を感じるが…人間だな……?」





「………それが、どうした………」




「………なぜこんなところに人間がいるのかは解せんが……その魔剣には興味がある…」