西の狼




「………少しは進んだつもりだったんだが…街まであと4、5日はありそうだな……」



「この森はかなり広いからな。だがこの先に行けば、街までの街道がある。そこまで行けば安全だ。」



「街道か…そこは通る奴はいるのか?」




「行商人が良く通る道だ。ここを通らなきゃ行けない街もあるからな。」



「行商人か…なら、街道にでたら乗せてもらうかな……」




レオンは地図をしまって歩き出した。









その後ろから、レオンを見張る人影の一団がいた。






「……あいつら、街道に出る気らしいぜ、兄貴……どうする?」




その男は隣りの男に尋ねた。

「……街道に出られると厄介だな……よし、ここで襲うぞ。先回りだ。行くぞ、オメェら!」



「オウ!!」



男達はリーダーに答えて先回りすべく姿を消した。




「……あんたも頼むぜ、『センセイ』…」




男が言葉をかけたのは、紫色の腰まで伸びた長髪が目立つ背の高い男だった。
その腰には、刀が提げられている。
男は刀の鞘に手を添えた。




「………無論だ……」




「………へへっ、じゃあ行くぜ!」


二人はレオンを待ち伏せする為に、音も無く走った。














「……しかし、本当に広い森だな……少し休むか…」



レオンは手近な切り株に腰を下ろした。




「はぁ……こうも日差しが少ないと、気が滅入るな……」







レオンが少ない日差しを浴びようと上を向いた、その時………







複数の男達がいきなりレオンを囲んだ。


「!?」




男達はそれぞれ手に槍や剣を持っている。

その目付きは明らかに友好的なものではない。