西の狼




ヴォルカスは馬を走らせた。













目指すは、遥かに広がるロイガーの森……


そこにいるであろう、約束の皇子を探しに…











「ギャォッ!?」








アザトホースで胴体は真っ二つにされた魔獣は力無く痙攣している。他の魔獣もいたが、幾らか倒す内に姿を消していた。


レオンはアザトホースを鞘に納めた。




「……魔獣にも、いろんな種類がいるんだな…あの、ラウガだったか?あれとはかなり違うみたいだが……」




「当たり前だ。ラウガは駿足で獰猛、更に大規模な群で狩りをする種族だ。このオルドラは多くても4、5体でしか活動しないが、ラウガ以上に獰猛で体も大きい。比べたところで何にもならねぇよ。後、魔獣は食わねぇ方が良いぜ。」





アザトホースの最後の言葉で魔獣の死骸に伸ばしたレオンの手が止まった。






「どうしてだ?」





「ホントに食う気だったのかよ!?」




「あぁ………」





「………魔獣は、基本は魔力を餌にして成長するんだ。その際に獲物の肉体ごと摂取するんだが、それだけにその肉の味は最悪だ。勿論栄養価もゼロだ。まぁ、多少は魔力が吸収出来るかも知れねぇが、どの道マズい肉なんぞお前だって食いたかねぇだろ?」




「……じゃあ、何を食えば良いんだよ?」



「そこら辺探してりゃ、普通の動物が出てくんだろ。それなら食える。」



「なるほど…普通の動物もいるのか……ならそいつを探すか…」




レオンはまた街の方向に向かって歩き出した。




途中でいくらかの動植物を捕って野宿しながら進んで、三日目……



レオンは魔王から貰った地図を広げていた。