「……レオンは、雰囲気が変わった様だな……」
「そうだね……多分約束の皇子として相応しい性格に変化したんじゃないかな。」
「……ならば、俺達が歪めた様なものだな……」
「……そうだね…」
二人が隅で話し合っている間も、レオンとアルナスは斬り結んでいた。
互いに交わしては切り込み、それを交わして反撃されれば距離を開けてまた切り込む……
その合間に魔法が飛び交いはしたが、やはりメインは剣の様だ。
少し魔法を撃ち合った後はまた剣での斬り合いに戻る。
そんなことを繰り返して、十七回目……レオンがアルナスの隙を突いて片方の剣を叩き落とした。
「しまっ……!?」
「はあぁっ!」
レオンは思いっ切り剣を叩き付けた。
その一撃を剣で辛うじてアルナスは防いだが、その剣を下からレオンは切り上げてアルナスの体勢を崩した。
「ぐっ!?」
「そこだ!!」
上に両手を上げた体勢のアルナスの脇腹にレオンは剣で切り付けた。
アルナスは脇腹を抱えて倒れた。
脇腹からは血が染み出している。
「ぐ………っ!?」
「………ここまでの様だな……レム、アルナスの傷を見てやってくれ。」
「分かった。」
レムはアルナスの脇腹に手を当てた。
その手の辺りが、うっすらと緑色の光を放っている。どうやら治癒魔法を使っている様だ。そんな二人をよそに魔王はレオンの側にやって来た。
「……まさか、本当に独力で勝ってしまうとはな……だが、これで文句は無いな、アザトホース。」
「………………あぁ…仕方ねぇな……おい小僧!約束は約束だからな。仕方ねぇから付き合ってやるが、この魔界で弱気なところを見せたらすぐに契約を切るからな。」

