煙が晴れるにつれてその人影が顕になっていく。
その髪は美しい銀色の短髪、ゆっくりと開かれた瞳は澄んだ蒼色をしている。
「……あれが、先程の子供なのですか?」
「あぁ。時渡りで十年程成長させた姿だ。今は十七、八といったところか?」
「そうだね…」
魔王の問いが自分に向けられたものだと気付いたレムはそれだけ返事してレオンの側に近付いた。
「……気分はどうだい?」
レムの声にレオンはゆっくりとレムに顔を向けた。
「……大丈夫みたい……」
「本当?何処か痛むところはある?」
「……うん。」
「そう……なら、良いんだけど…」
「レム。済んだのならさっきの部屋に戻るぞ。」
「あ、あぁ…じゃあ、行こうレオン君。」
レオンはレムに促されるままに移動した。
四人は客室に戻って来た。
四人共座ったが皆押し黙ってしまった。
しかしそんな中でも意識が完全にレオンに向いているレムに呆れて魔王が口を開いた。
「……いつまでそうしているつもりだ、レム……」
「……でも……」
「……基の素材からして違うのだ……『あの時』の様な心配は無いはずだ。」
魔王のその言葉に幾らか落ち着いたのかレムはそれからは意識をちゃんと会話に集中させた。
「……確か、レオンと言ったか…」
「あ、はい。」
「……なるほど、確かに秘めたる魔力は相当なものだ……だが今のままでは宝の持ち腐れだな……」
「……そうなんだ。だから、魔界で修行させて欲しいんだよ。ここは人間界とは時間の流れが違うから、いくら時間をかけても心配無いからね。」
「……それは構わんが、私は協力はしないぞ。」

