「……人間の子供を、魔界で野放しにするつもりなのですか?」
「……そうだね…だけど、このまま行かせる気も無いよ。」
「……?それは、どういう……」
「……『あれ』を、使うつもりか……」
不意に、魔王が小さく呟いた。
「魔王様…『あれ』とは……」
「……禁断魔法…『時空間操作』だ…」
「時空間操作……?」
「光と闇の混成魔法の中でも、最も難度が高く魔力消費も多い。だが、操れれば最強の魔法と化す禁断魔法……それを使えば、その子供を成長させるも幼くするも自由……」
「……そんな魔法が……しかし、混成魔法とは……それも、光と闇の……相反する属性を混成するのは、相当困難な作業……」
「その通りだ。だが創世の大精霊たる我々ならばそれも可能だ。過去にも何度か使ったからな……」
「……その禁断魔法で、レオン君をいくらか成長させたいんだ。そうすれば、内包する莫大な量の魔力のコントロールもいくらかは可能になる。細かい修行はその後にするつもりだよ。」
「……本来ならば、我々が人間界へ不要な干渉を行うべきではない……が、それも約束の皇子のためならば……仕方なかろう……」
魔王は静かに立ち上がった。
「……着いて来い。」
魔王はそれだけ言って部屋から立ち去った。取り残された形の三人は魔王の後を追った。
魔王の後に着いて来た三人は大広間に着いた。部屋の四方には、火の着いた蝋燭が立てられている。
「ここは……」
「ここは、儀式場だ。」
「儀式場……?」
アルナスは部屋を見回すレオンに答えた。
「魔法を使う儀式の際にはこの儀式場が使われることが多い。」

