「……俺の名は、アルナス…魔王様の側近の一人だ。」
「……君がアルナスか…ガルディアは元気かい?」
レムは何気ない口調で出された紅茶を啜りながら喋った。
しかしそんなレムの様子に反してアルナスの表情は強張っている。
「……何故、その名を知っている……」
アルナスは鋭い眼光をレムに注いだ。その左手は腰の剣の鞘に伸びている。
「…昔馴染だからね…よく知ってるよ…」
レムもレムでまだ紅茶を啜っている。
その様子をレオンはじっと耐えて見ていた。
するとアルナスは諦めたのか剣の鞘から左手を離した。
「……やはり、貴方が光の大精霊、レムか……」
「……いかにも、僕が光の大精霊レムだよ……」
「……それで、そのレム様が一体何の用で魔界にいらしたのですか…しかも、そんな子供まで連れて……」
レオンは急にアルナスの視線が自分に移ったことで身体を強張らせた。だがアルナスはすぐに視線をレオンからレムに戻した。
「……君達の中に、人間界に干渉している者がいるね……?」
「……確かに、我々の中にその様な不届き者がいる様ですが……それは我々で調べて罰します。貴方には関係無いはずでは……」
「……確かに、僕には無関係だよ。でも彼はそうじゃない……」
そこでまたアルナスの視線がレオンに向いた。
「……彼は、約束の皇子だ……」
レムの言葉を聞いた途端にアルナスは立ち上がった。
「……こいつが、約束の皇子…だと…!?」
よほど衝撃的だったのか、アルナスの両手は小刻みに震えていた。
「……そして君達の中のその不届き者は、彼の敵に力を流していることになる。」
アルナスはまだ震えているがゆっくりと腰を下ろした。

