「……君を傷付ける訳にはいかないからね…それに、あれは偵察も兼ねていてね。一匹は返しておくけど、他を残すと要らない援軍を呼ばれてしまいかねない……」






レムが言い終わると同時に弓が白い炎を噴き出した。その炎は次第に大きくなっていく。



魔獣達も少し怯えている様に見える。




「……レオン君も、良く見ておくといい。これが、大精霊の魔導具だよ……」



もはや白い炎の塊と化した弓を、レムは横に薙いだ。


白い炎から現われたのは、輝く白い両刃の剣だった。刃の中央には黄金に輝く紋様が走っている。



「聖天剣…カラドボルグ……」



レムが剣を振ると、その刃に残っていた白い炎が吹き飛んだ。白い炎は何体かの魔獣に当たってさらに勢い良く燃え上がった。


「グアォッ!?」



その白い炎はすぐに魔獣を燃やし尽くした。



「……さぁ、かかっておいで…」


レムが剣を構えると同時に魔獣達が一斉に飛び掛かった。


「ギャアアッ!!」


レムは剣を頭上高くに掲げて構えた。すぐ側まで魔獣達が迫っていた。



「レム!?」



レオンがレムに声をかけた。







「……光焔……爆陣撃!!」





レムは剣を地面に思いっ切り突き刺した。すると地面に剣を中心に白い魔方陣が広がった



「!?」



その魔方陣は若干の間を挟んで大爆発を起こした。



「ギャアォッ!?」



魔獣達はその大爆発で纏めて吹き飛ばされた。しかしその中心にいた二人は全くの無傷だった。


「…ふぅ……」



レムは剣を地面から引き抜いた。すると魔方陣が跡形も無く消えた。魔獣達は皆動かない屍体になっていたが、辛うじて生きていた一匹が傷だらけの体で逃げ去った。