「…………て……起き……君………」
薄暗い彼方から、聞き覚えのある声が聞こえた気がした。
「………う…ん……?」
「…レオン君!!」
「!?」
いきなりの耳元での大音量にレオンは飛び上がった。
「……あれ…?」
起きてはっきりとした意識の下に辺りを見回してみると、この世とは思えない様な光景が広がっていた。
空は紅く染まり、大地には草木一本生えていない。
「……はぁ……」
その溜め息の聞こえた方に視線を向けると、そこにいたのは………
「……相変わらず自由だね、君は……」
「……レム………」
それは白い礼服に背中に四枚の白い羽を生やしたレムがいた。その羽には白い炎を纏っている。
「……ここは…どこなの……?」
「…ここが、魔界だよ。君達の敵…帝国に力を与えた奴らのいるところさ。」
「…帝国に……」
「………来たかな……」
「……え……」
レムが小さく遠くを見ながら呟いた。それはレオンには聞き取れないぐらい小さかったが、それはすぐに何を見ているのかレオンも分かった。
ドズ………ン……!!
空から二人の回りに何かが降って来たのだ。
「……グルルル……」
それは、赤黒い犬の様な生き物だった。だがその大きさはレオンと同じか少し小さい程の大きさだ。
「これは……」
「魔獣だよ。」
「魔獣……これが……」
赤黒い犬達は牙をむき出して二人を威嚇している。
「……やれやれ…仕方ない。」
レムは溜め息混じりにそう呟くと、どこからかバイオリンの弓を取り出した。
「…レム……?」