「…そうですね……私達も、あの戦争には少年兵として徴用されていましたから……勿論、ニナ以外は、ですが……」
「そうか……あの戦争で、各国の情勢は変わった……だが、今は帝国の先行を許す訳にはいかないからな。」
「勿論です。そのために我々が大使として参ったのですから。」
「あぁ。そうだな。」
そんな話をしている内に、アイナ達は城門に辿り着いた。
「ランスリッター家当主、アイナ・フォン・ランスリッター!マルゼリア連邦よりの大使を連れて参った!入城を許可されよ!」
城門の前でホーリアを止めたアイナが、突然名乗りを上げたかと思うと、城門がそれに答える様にゆっくりと開いていく。
「……では、行こう。」
アイナ達は城門を潜って入城した。
「……そうですか。やはり帝国は兵を派遣していましたか……」
玉座に座る女王は溜め息混じりに呟いた。その数段下には、ガラルドとガルハイド共和国の大使達が片膝を着いていた。
「はい。この分だと、恐らくアイナの方にも兵を派遣していると思われます。」
「……そうでしょうね……これで、帝国の独断先行は明白となりました。もはや、ためらうことも無いでしょう……」
「陛下、では……」
「えぇ。幸い、大精霊達も協力の姿勢を示しているのであれば、今が好機ということなのでしょう。」
「……分かりました。では、他の国からも協力を取り付けなくてはなりませんが……」
「今は、連邦と共和国との同盟締結に力を入れましょう。その後で、かねてより交流を望んでいた『東海諸島連合』との同盟も締結しましょう。」
「『東海諸島連合』、ですか…しかし、あの国は帝国を挟んだ向こう側に国土を構えている国です。同盟を結ぶには、いささか地理的に問題が……」

