西の狼

「!サラドリア公国の四大卿の一人…なぜここに…」

「貴方方を迎えに来たのだ。我が方の人間が帝国兵の大使達への襲撃を予想したため、その迎撃と護衛を兼ねてな。」

「…そうですか。いや、武器を向けて申し訳ありませんでした。私達は、マルゼリア連邦軍第三小隊の者です。私は小隊長のクライス・ヒルデリア。」

「アリア・サージェントです。」

「ニナ・シュトルガンだよ。」

「ケルビン・マクガリアだ。」

四人は揃ってフードを取った。

クライスは黒い短髪に金色の瞳と、まるで女性の様に整った顔をしている。

アリアは薄いピンクの腰まで伸びた髪に、薄紫色の瞳をしている。
ニナは茶色い髪に同じ茶色い瞳でまだ幼さが垣間見える。

ケルビンは、青い短髪と澄んだエメラルド色の瞳に小さな眼鏡をかけている。

「今、休もうとしていたところでして…」

「そこに、帝国兵の襲撃を受けた、と…」

「えぇ、情けない話ですが…」

「いや、あの敵は異様な魔力を纏っていた。恐らく、あのままでは全滅していただろう。それに、長旅の疲れも溜まっている様だ。仕方ないでしょう。」

「…えぇ。申し訳ありません…」

「…ここでお休みになるのも大した休息にはならないでしょう。良ければ、我が方の野営に案内するが…」

クライス達は少し目配せしてから静かにうなずいた。

「…では、お願いします。」

「承知した。では、少しだけ目を瞑っていてくれ。」

「はい。」

言われた通りに四人は目を瞑った。

「…ホーリア、頼む。」
アイナがホーリアの頭を撫でると、ホーリアの角が青白く発光した。その光はホーリアの角からクライス達に移った。光がクライス達を完全に包むと、光はまたホーリアの角に戻った。その時には、もうクライス達の姿は無かった。

「…野営に戻るぞ!」

アイナに従い、部下達は野営に戻った。