西の狼

「はっ…」

「…これから、帝国と西側諸国の連合との決戦になる…だが、所詮は寄せ集めだ。いずれ、帝国に物量で押し負けるだろう…そうならないために、一つ策を講じておこう。」

シルフィードと神父達の会議は、遅くまで続いた。






「…今日は、いるかなぁ…」

ガラルドが任務を受けた頃、レオンは中央区の公園に向かっていた。しばらく進むと、公園の一角に一人のバイオリンを弾く青年がいた。その美しい音色に過ぎ行く人々がバイオリンのケースに金を入れていく。レオンも青年の前のベンチに座ってその音色に耳を傾けた。どこまでも澄んだ音色に、時を忘れてしまいそうになる。ふと、青年がバイオリンを止めてレオンを見た。
「やぁ、今日も来てくれたんだね。」

「はい…どうしても、また聞きたくなっちゃって…迷惑でしたか…?」

「いや、そんなことは無いよ。いつもただ弾いているだけだけど、お客さんがいてくれることほど、嬉しいことは無いからね。」

「…へへ…」

青年の穏やかな口調に思わず頬が緩む。しかし、それもすぐに陰ってしまった。

「…どうかしたのかい?」

青年が隣りに座った。レオンは自分の内心を告げた。青年は何も言わずに聞いていてくれた。レオンが話し終えると、青年がゆっくりと喋り出した。

「…そうか、お父さんが…」

「うん…最近、一緒にいてくれないんだ…前は、いつも一緒にいてくれて、出かけることの方が少なかったのに…」

「…お父さんのことは、嫌い?」

「うんん…大好きだよ…お仕事が大変なのも分かるんだ…それでも、一緒にいて欲しいのに…僕は、いけない子なのかな…」

そう言うレオンの小さな肩が微かに震えた。今にも泣き出しそうだ。青年は優しい口調で語りかけた。

「…そんなことは無いよ。誰だって大切な人とは一緒にいたいからね。君はいけない子なんかじゃないよ。」