「ふぅ……やっぱり首を全て落とさないと駄目か……仕方ないな」


レオンが溜め息を吐いていると、ミカエリアが近くに降りて来た。


「オヤ、疲れたんですか、レオンさん?」



「いや、少し呆れていてな。あんな姿になってまで、領主は何がしたかったのか……」



「権力者というのは、いつの時代も不老不死に憧れるものですよ。それで自分が、世界の王にでもなったつもりなんでしょうかねぇ………私には理解出来ませんがねぇ……」



「………そうだな……」

二人は巨大なドラゴンを哀れみを込めて見ていた。



そこにドラゴンが火球を放ったが、二人はあっさりとかわした。


「まぁ、これも仕事ですからねぇ………」



ミカエリアは誰にも聞かれない様な小さな声で呟いたかと思うと、再び剣を手にドラゴン目指して駆け出した。














………あれは……誰……?




彼女は、暗闇の底から遥か彼方に煌めく複数の光を見つめていた。


しかし光はそれ以上近くに来ることは無く、ただそこで明滅を繰り返すだけだった。




………私は……このまま死ぬの………?



彼女の未だはっきりとしない意識の中で、死神が鎌を彼女の首元に当てている様な錯覚を感じた。


このまま、死神の鎌に首を落とされようかとしたその時、目の前に、小さな光が現われた。




「………ダメだよ……あなたは、こんなとこで死んじゃダメ……」


それは、目の前の光からの声だった。

鈴を転がす様な、澄んだ幼い声だった。



「……あなた…は……」


「ワタシは、アルマ……あなたは?」



「…………私は……イレール………」



イレールは、その時光が微かに微笑む少女の様に見えた。