西の狼

子供達がシスター達に連れられて寝静まった頃、シルフィードは数人の神父達と集まっていた。

「…そうですか…ついに帝国が本格的に侵略を…」

神父の一人が静かに言った。

「共和国と連邦も、こちらに大使を送っているそうだ。その護衛にガラルドとアイナが出た。アルバートは公国の周辺地域の哨戒に従事している。私達は、陛下を御守りしなければならない。」

「無論です。そのために、私はエルザ達の修理と調整をして来たのですから…」

「ディアルドは引き続きエルザ達を頼む。何かあれば頼ることになるだろう。」

「承知しました。」

ディアルドが静かにうなずいた。

「カリア、公国内の治安はどうだ?」

「今のところ特筆すべき問題はありません。中央区の公園に芸人達が集まっている様ですが、それも国民の息抜きになっていますから。」

「それも、治安維持に貢献しているというわけか…国内の情勢は概ね現状維持だ。魔法鉱石の採掘はどうなっている?」

「そちらも、今のところ問題ありません。鉱脈が途絶える気配もありません。」

「そうか。だが、採掘は慎重に行え。いつ鉱脈が途絶えるとも限らない。」

「今現在、採掘可能な鉱脈は五つ。今の採掘現場は二つ目になりますが、まだ着手してから二年と経っていません。」

「…そうか。だが、あまり無理に掘り進めない様に気をつけろ。念のため精霊界との交渉も続けてくれ。クライブ、精霊界は今は何と言っている?」

シルフィードに呼ばれた男はゆっくりと喋り出した。

「王は、協力する意思はある、と…現在大使の護衛に向かったお二人の元に使者を遣わしたそうです。」

「使者…?」

「えぇ。合流予定の渓谷と森林地帯には、邪悪な精霊の呪いがかけられているそうで…その呪いを打ち破る為の使者だそうです。」

「…そうか。王に感謝の言葉を伝えておいてくれ。」