西の狼




領主はゆっくりと右手をレオール目掛けて振り上げた。



その動きに従って、黒い魔方陣から黒い稲妻が走った。



その稲妻はレオールを狙っていたが、側にいたレオンとミカエリアにも襲いかかって来た。



「!二人とも、私の後ろに!」




とっさのことに反射的に二人はレオールの後ろに下がった。



すると、レオールは剣を地面に突き立てた。



「黄金よ、我が身を守れ!!」



レオールが言葉を紡ぐと、地面に黄金の魔方陣が現れ、レオールと黒い稲妻の間を隔てる様に黄金の盾が現われた。



レオールの身長よりも大きい黄金の盾は、黒い稲妻を全て弾き返した。




「こシャくな……」




「……この槍が効かないとは………」



「フン、キサマらなんゾに……ワタしのイノちは…ヤラんぞ…いまココで……シマつしてヤル……ッ!!」



領主はそう叫ぶと、全身から黒い稲妻を走らせた。



「これは……二人とも、急いで外に出るんだ!!」



三人は来た階段を登って急いで地上に出た。




それから少し遅れて、領主の館が轟音と共に崩れた。




その下からは、九つの首と四枚の翼を生やした、全身紫色の巨大な生物が現われた。それは………




「……ドラゴン…なのか?」

「………その様ですねぇ……」



二人はただ呆れるしかなかった。



「あれが、領主が追い求めた不老不死だと言うのか……ッ!!」



レオールは無意識の内に剣を握った手を強く握り締めていた。


その時ドラゴンの首の一つが三人の所に巨大な火球を放った。



「あれは、大きいですねぇ……」



「また私が盾で……」


レオールが再び剣を構えた。